子どもから大人まで、思わずクスッ・ウルっとしてしまう
こんちゅうクンの虫たちへの愛情あふれるかるたです。
札紹介
チャバネアオカメムシ
【歌意】私が臭いにおいを出すのは、人間のぬくもりに触れないため。人間に嫌われながら生きる。そういう生き方があってもいいじゃないか。
【解説】カメムシはいつでも臭いわけではなく、敵から襲われたり刺激を受けると足の間の臭腺(しゅうせん)というところから臭いにおいを噴射する。カメムシはそうやって敵や人から嫌われることで生き残ってきた。嫌われることにも良いことがあるかもしれないというカメムシからの示唆。
カイコ
【歌意】人間はみんな桑の葉をくれるので愛おしいが、その目的は私が出す糸が欲しいからでしょう。(でも、そうと分かっていても)人間がいないと私たちは生きていけないのだ。
【解説】昔から人はカイコを育て、カイコがさなぎになる時に作るまゆから糸をとってきた。カイコは自然界には存在せず、人が餌をあげないと生きていけない。「いとほしき」は「愛おしき」と「糸欲しき」の掛詞。糸欲しさに育てられているのは分かっているが、そんな人間を愛おしくも思ってしまう複雑な気持ちが読まれている。
カブトムシ
【歌意】(我々カブトムシは)恋のライバルと角を突き合わせて戦うが、人間も言ってるけど戦わずして勝つのが本当の勝ちなのだ。
【解説】カブトムシは樹液やメスを巡って、オス同士がツノを突き合わせて戦うが、多くの場合は自分と相手のツノの長さを見極めて、戦う前に短い方が逃げていく。戦わないで勝つことが一番良いとするのは、カブトムシも人間も一緒だろうと説いているのである。ちなみに、ここに出てくる「人」とはおそらく孫子(中国の昔の武将・孫武の尊称)のことであろう。孫子は「戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」と兵法書に書き残している。
キアゲハ
【歌意】私たちアゲハチョウは大人になるとカラフルな色合いだが、おなかがムニムニしていた幼虫のあの頃もなつかしいなぁ。
【解説】百人一首「このたびはぬさもとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに」の「まにまに」は「思うままに」という意味だが、「むにむに」は単にふっくらとしたおなかに対する擬音語でしかない。また「からふれど」は「カラフルだけれど」を省略した完全な造語。
ハラビロカマキリ
【歌意】私の前を通れば、たとえ蜂だとしても捕まえて食べてみせよう。ただ、そんな私でさえ(他の仲間や鳥の前で)動けば食べられるしまうこともある。
【解説】ハラビロカマキリは動くものを食べ物とみなし、セミやスズメバチを食べることもある。虫界の食物連鎖でも上位に君臨するが、そんなカマキリ自身も他のカマキリや鳥などに食べられてしまうこともある。「動かば〜」と「〜さへ」と同じ形を反復することで、食べる側と食べられる側は表裏一体であることを表現している。食べるだけでなく食べられないことにも気を配らなければ生きていけないと、自分に向けて言い聞かせている自戒の歌。
ナミテントウ
【歌意】背中には並みとは言えないほどの星模様がある。その星の数は星の数ほど(変化に満ちている)。
【解説】テントウムシは背中の点を星に例えて名前がつけられることがある(ナナホシテントウなど)。ナミテントウは並み(普通)のテントウムシという意味だが、背中の点の数や色のパターンは点が2つだったり、4つだったり、赤っぽかったり黒っぽかったりと、同じナミテントウの中でも何パターンも存在し、並みとは言えないほどのパターンを持っている。「星」を3回連続させて読むことで、「星の数」=「たくさん」という意味を深める効果が出ている。
全64首・和歌紹介
詠み人:こんちゅうクン(北野伸雄)
1985年静岡県浜松市生まれ。
九州大学農学部生物資源環境学科で昆虫について学ぶ。
2014年より磐田市竜洋昆虫自然観察公園の職員として、昆虫の楽しさや面白さ、奥深さを子どもから大人まで幅広い世代に伝えている。
小学校での出張講座や各種講演、イベントの出演も多数。著書に「みんなの昆虫学校」(2018年:くまふメディア)がある。
一番好きな昆虫は、小学校時代にさなぎが羽化する瞬間を見届けた”旅するチョウ”アサギマダラ。
遊び方
1. かるたとして遊ぶ
- 64枚の取札を表向きのまま、まき散らします。
- 参加者は、札の周囲に座ります。
- 読み手が、読み札を見ながら、和歌を読みます。上の句、または名前から読む場合もあります。
- 歌を覚えていない人が多く、なかなか取れない場合には、下の句だけを繰り返して読みます。
- 全ての札を読み終えて、一番多くの札を取った人が勝ちです。
2. 坊主めくりで遊ぶ
※ 札の種類はこんちゅうクンが「姫っぽい」「坊主っぽい」など、独断と偏見で決めています。
- 読み札64枚を用意します。
- よく混ぜて裏向きにして重ねます(2つか3つの束にしておきます)。これを山札と言います。
- 順番を決めて、一番目の人から札をめくっていきます。
- 最後に手元に残った札が一番多い人の勝ちです。
- 64枚のうち38枚はノーマル札・6枚は天皇札です。ノーマル札・天皇札をめくったら、そのまま自分の手元に置きます。
- 64枚のうち8枚は坊主札です。坊主札をめくってしまったら、手元の札をすべて没収され、手放さなければいけません。(山札の近くにまとめて山積みにしておきます)。
- 64枚のうち12枚は姫札です。姫札をめくったら、続けてもう1枚めくることができます。
- また、坊主をめくって没収され、山積みになっている札をすべてもらうことができます。
- 天皇札をめくったら、全員の手札をもらうことができる、もう1枚めくることができる、など特別ルールを決めると、より一層楽しく遊んでいただくことができます。
- ※坊主めくりは、地域によって様々な遊び方やルールがあります。みなさんもぜひ、『独自ルール』を決めて、「こんちゅう和かるた 坊主めくり」を楽しんでください。
詠み人と編み人がこんちゅう和かるたで対決
2020年5月27日『百人一首の日』に合わせ、
【みんなのこんちゅう和かるた】の作者 “こんちゅうクン”と、
担当編集者として1か月以上に渡りかるたを校正しつづけた “編集者F”が
ついにかるたで直接対決。
厳かな雰囲気の中行われた対戦、
果たして勝つのは詠み人か編み人か?
商品情報
セット内容 | 読み札・取り札/各64(ムシ)枚 こんちゅうクンによる解説書/1枚 |
定価 | 本体1,600円+税 |
販売 | 書店/Amazon/くまふストア/ふるさとチョイス |
監修 | 磐田市竜洋昆虫自然観察公園(静岡県) |
詠み人 | こんちゅうクン(北野伸雄)と64匹の虫たち |
発行元 | 株式会社くまふメディア制作事務所 |
※ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」からもみんなのこんちゅう和かるたをご購入頂けます。
メディア掲載情報
- 【静岡新聞】昆虫目線で生態詠む 竜洋自然公園職員、百人一首風かるた制作
- 【テレビ静岡】おうち時間を楽しく「こんちゅうカルタ」 昆虫の魅力を再発見 静岡・磐田市
- 【産経新聞】こんちゅう和かるた お家時間を楽しく、虫の生態遊びながら学んで
- 【中日新聞】こんちゅうの生態かるた完成(2020年5月18日付)
- 静岡新聞 遠州暮らしマガジン「enamaru vol.19」
- 静岡新聞「びぶれ」 vol.742(5月28日号)